七福神みたいー恵比須様って!?

先日、ある生徒さんのお母さまが、受講料をお持ちになって、またまた二人でいろいろおしゃべりをしていた。
女同士、あれこれよもやま話。
ある話をしていて、その方がおっしゃった。
「先生って、きっと汚いところを、全然通って来られず、きれいなところを歩いて来られたんですね。」
「よくそう言われるんですけど、それなりに、いろんなものを見てきましたよ!」
とお話しさせていただいた。

新任で勤めた学校で、私は高校部の専任教諭だったが、同級生の男性の、仲良くしていた中学部の非常勤の先生にも、「お前は、可愛がられて育ってきたって感じがする。」と言われたし、大学の同級生の男子(これは犬猿の仲のように、いっつも寄っては喧嘩していた。今、金沢にいるはずである。就職が決まったときには喜んでくれ、結婚すると言っては、先輩である夫に『よろしく頼みます。』などと言うおせっかい男であったが。)にも、いささか揶揄されたニュアンスで、「お嬢さん」だと馬鹿にされていた。「お嬢さんがバイトしません!」と反論すると「それは、お父さんが、世間を知らせようと思ってやろ?」などと言い出す始末。
真ん中っこのいじけていた私によう言うわ!!
そう言えば、思い切り身内に「世間知らずの純粋培養の、温室育ちのバカ。」と言われ、その職場の先輩に、「高校の先生していて、バカはないでしょう・・・。」とたしなめられたそうであるが、その言わんとしているところに、なんとも反論しがたい部分があるのも一部認めていて、言い返しもしなかったなあ。職業の問題ではない・・・。

母と話していた。
「よう言うわ!どこがー?」と私なりの苦労を認めてくれている・・・。

そう言えば、文学関係でお知り合いになった、高齢の女性の先輩に、「あなた、聴いてたら、いろいろ経験しているのに、全然意地悪なところがない。もっと自信もっていいよ!もっと意地悪になってもいいのに・・・。」なんて指摘を受けたこともあったっけ。
そりゃあそうでしょ。
どんなに見ても、取り入れられないものは、自分の中に入ってこないもので・・・。

冬期から受験期に手伝っていただいた先生も、「櫻井先生は、日の当たるところを歩いて来てて・・・。」などと生意気なことを言っていたけれど・・・。

母と検討していた。
要するに、人間の裏も知っているけれど、それなりに見もしたと思うけれど、それをお日様の下に晒して、パンパン!っとホコリを払ってきれいにするような、そんなことを続けてきたような気がしている。
要するに、抱えておけないのである。

高校時代に付き合っていた人にも言われた。
「だって、あんた、自分から正直に言うから・・・。ウソつかないし・・・。」なんて。

格好つけない、ウソつかない、普通は都合の悪いことは黙っているのに、全部言ってしまうし・・・、などなど、あれこれ言われてきた。
誰かを守るために、例えば、誰にも迷惑を掛けない嘘ならつくだろう。それがマナーの範囲なら。

昨日、U兄弟の指導を続けてさせていただいたのだけれど、お兄ちゃんのTくんも、また、ウソがつけない。なんでも、まるでブルドーザーのように、正攻法で片付けていく。
当然櫻井の大のお気に入り。

そんなTくんを、ある意味正反対の、友だちNくん(彼は彼で、お気に入りである。話が合う。)が、「Uは、滅茶苦茶いい奴やよ・・・。ホンマ・・・。」と人に言っているのを聞いた。
Nは、Uを信頼しているし、正直、しんどくなったら、私やUになら、ちょっと甘えることもしそうな気がする。
それで気付いたのである。
U君は正直に率直になんでも表現する。
自分の気持ちにウソがつけない。
その代わりに、彼にはウソがないと、みんなが信じているのである。
だから、言ってみた。
「N君が、あなたのことを、めっちゃいい奴って言ってた。で、分かったの。あなたや私みたいな人間って、要領悪くて不器用そうに見えるだろうけど、信じてもらえるよね!」
U君は、「ほんまっすか!?」と言っていた。意外そうに。
彼こそ、正真正銘、日の当たる場所を、いや、どんな場所も、日の当たる場所に変えてきた男である。

その、Uくんの弟のYくんは、お兄ちゃんを尊敬し、甘えている。
「こいつ、正直、大きくなったら、めっちゃイケメンになると思うんですけど・・・。」
お兄ちゃんは、弟を庇ったり、見守ったりしている。
「あなただって、大学に行ったら、きっとめちゃくちゃイケメンになると思うけど・・・。」などと三人で会話していた。

「ねえ、Yくん、ちょっとは先生も褒めてみてよ。お兄ちゃんだけじゃなくて・・・。」と言ったら、一生懸命考えている。
しばらくして、「七福神のような・・・。」
「エッ!?」顔色を変える私。

そうそう、かつて、テレビ出演した際、司会の高原兄さんが、やたらと私を見てるなあ、と思ったら、最後の最後に、「まるで恵比須様のような顔だねえ・・・。」とおっしゃり、テレビを観ていた友だちは、「ああ、この一言が言いたかったわけね。番組の間、えらい、あなたの方を見ていると思ってたけど。」と納得したらしい。

福笑いみたい、と言われたこともあったなあ・・・。
中学校の同級生の隣に座っている男子が、私の顔をまじまじとみて、「いやあ、福福しい顔やなあ、思うて。」と言われたこともあった。年端のいかない、いや、年を重ねた今でも、女性としては、喜んでいいのか悪いのか・・・。複雑な心境の私であるが・・・。要するに見てたら、笑いたくなるってことか・・・。たしかに生徒には、何かというとおもしろそうに笑われている気がする。

昨夜、帰りがけ、教室の駐車場で、U兄弟がお母さまの待たれている車へと歩いていくとき、兄の言葉が聞こえた。
「U、お前、なかなかうまいこと言うなあ・・・。」
それを聞いた私。
「ちょっと!何言ってんのよ!」
堪えもせず、二人はニヤリと笑っている様子・・・。

ええわ、ええわ。
みんな福の神やし。
恵比須様なんて、大阪ではえべっさんっと呼ばれる、商売繁盛の神様やし・・・。
そうだった!
叔母の中には、うら若き浪花乙女の憧れ、『商売繁盛で、笹持って来い!』の掛け声で有名な、えべっさんの何やらわからん娘さんの選考に勝ち進んだ人もいて、私には、そっち系列のDNAは発現しなかったのは仕方ないとして、まあ、福をもってそうなところだけ、皆様に役立てることにしよう。
運にだけは恵まれてきたし、愛嬌だけが取り柄らしいし。

ということで、福をお分けいたしますので、どなたでもお越しくださいませ。
楽しくお話しいたしましょう!

そう言えば、私の似顔絵を描いた、予備校の同僚の絵が掲示板に貼られているのを見て、「あっ、おたふくソース!」と叫んだ生徒もいたっけ。
もう、ええわ・・・。