楽器の習得


小さい頃から、楽器との付き合いは長い。

まずは4歳で始めたオルガン。
もうすぐ一年生、というころに始めたピアノ。これが一番長い。

そのほかいろいろな楽器と付き合ってきた。
吹奏楽ではパーカッションの担当だったから、いろんな打楽器と付き合った。
ピアノをやっていたから、鍵盤楽器が得意だった。
歌を歌っていた時期も、ほんの一時期だけれどあった。

ほとんど褒められた記憶がないけれど、高1のとき、ヘンデルの『リュートのための古典舞曲とアリア』のパッサカリアのタンバリンを担当して、大先輩のプロの打楽器奏者が、思い切り、顔を覗き込むようにして、「めちゃくちゃ良かった。周りとすごく合ってて、リズムも何も、すべて良かった。」と言ってくださった。
実はタンバリンは難しい楽器なのである。
というより、技術、とか、音楽性、とかいうよりも、ほかのことが原因になって、いまいち打楽器奏者として乗れない私を見抜いてくださっての、やっとの褒め言葉だったのではないかなあ、と思っていた。

楽器は難しい。でも、自分を思い切り伸ばしてくれる。
毎日の練習の積み重ね。一生懸命音を聴きながら、少しずつ、自分の出している音を良くしていこうと努める、なんとも気の遠くなるような営みである。
最近、ご姉弟のバイオリニストのファンになった。
明らかに、違う。

お姉さまの方は、もう、音楽として聴き込んでしまう。
もう、人間性のレベルが違う。

弟さんは、なんでもやるタイプ。
学問からスポーツから、起業から・・・。
もはや音楽家って言ってもいいの?というほどの多彩さ。

音楽を追求することの大変さを思う。
でも、弟さんの方は、私たちに音楽を、クラシックを身近に感じさせてくれるという意味で、私はファンになってしまった。

よく、「二兎追う者は、一兎も得ず」と言うけれど、わが母校は、「二兎追う」のが当たり前の学校だった。二兎どころか三兎も四兎も追う人ばかりだった。

なんだか、いろいろやってはいけないのかな、と考えていたけれど、でも、一生のうちでやりたいことはたくさんありすぎる。
でも、このお二人のバイオリニストに出会ってから、一つのことを、思い切り深めるのもいいし、いろいろなことを一生懸命追求するのもいいなあ、どっちもあり、と思えた。

が、しかし、楽器は手強い。
ひとつの楽器に手を出すときの、畏れのような感覚。

それを持ちつつ、実は、新しい楽器に挑戦しようかなあ、と考えている。