新見南吉「てぶくろを買いに」ー人を信じることの大切さ

大好きな童話があります。
新見南吉のお話は大好きなものが多いのですが、人と動物の交流のお話が大好きです。
中でも、「ごんぎつね」と「てぶくろを買いに」は、本当に好きなお話です。

お母さんキツネが、小さい息子の手が寒かろうと、手袋を買いに出掛けます。
人間の住む町に。
でも、お母さんキツネは小さいころ人間に怖い思いをさせられたことがあるからか、ものすごく警戒して、小さい息子に言って聞かせます。
息子の手の片方を人間の手の形に変えてあげて、
絶対にこっちの手を出すように・・・。反対の手を出さないように、と注意するのです。

子キツネは、母の言うことを聞こうと一生懸命です。
お店に行って、この手に合うてぶくろをください。
と言って、お店の人に親切にしてもらって、子キツネは母キツネのところに帰ってきます。
親切だったよ・・・。
でもね、ぼく、反対の方の手を出しちゃった・・・。

その言葉に母キツネが自分の価値観を覆されるところが、私は大好きです。
子キツネは、だれも疑うことを知りません。
その純真な心には、相手も純粋なものを返してくれるのかもしれません。
小さいころに怖い思いをした母キツネの思いを覆すその人間と子キツネとのやり取り。
その場面も私は大好きです。

以前に怖い思いをしたから、人を信じる力まで失くしてしまわなくてもいいと思います。
人を信じる力ほど大事なものはありません。
純真に人を信じて、その信じた心を踏みにじるとしたら、踏みにじった人が悪い。

もちろん、人を見たら盗人と思え、というのも大事な教えです。
警戒を解いてはいけない、という点では。
でも、そうそう人は騙そうとばかりしているだろうか?

かあちゃん、おててがちんちんする・・・。
母を慕い、誰のことも信じるこの子キツネの言葉が大好きです。
とっても親切だったよ。
でもね、ぼく、反対のおててを出しちゃった・・・。
そのときの母キツネのような衝撃を、私は忘れないようにしたいと思っています。
今、本当にそう思っています。